ライブ配信アプリ「everylive(エブリライブ)」が、2026年6月に入って突然つながらなくなりました。配信ラボには、エブリライブの代理店を務める方から「運営と急に連絡が取れない」「代理店報酬が支払われず、ライバーさんへの報酬を自腹で肩代わりしている」といった切実な声が寄せられています。本記事では、憶測を避け、公開情報(DNS・SSL証明書・Webアーカイブ・商業登記簿)で確認できる事実と、現場から寄せられた声を整理してお伝えします。
エブリライブとは、どんなサービスだったのか
エブリライブ(everylive)は、スマートフォンひとつで誰でもライブ配信ができるライブ配信アプリです。配信する「ライバー」を、視聴者である「リスナー」がコメントやギフト(投げ銭)で応援し、その応援がライバーの収益につながる――いわゆる投げ銭型のライブ配信プラットフォームでした。
サービスの提供開始は2021年1月。当初はSTAGE株式会社のサービスとして始まり、2022年2月に運営がエブリライブ株式会社として独立(分社化)しています。「Good for Everyone ― 誰もがポジティブになる世界をつくる」を掲げ、ライバーの育成・マネジメントや、配信イベントの開催に力を入れていました。

- イベント・コンテスト:縦型配信のグランプリ企画などを開催し、テレビ局と連携したオーディション企画も展開。
- 社会貢献(CSR):能登半島地震への支援など、社会的な取り組みも発信していました。
- 事業拡大:総合エンターテインメントプラットフォーム「everyfriends(エブリフレンズ)」構想も掲げ、ベンチャーキャピタルからの資金調達・増資を行うなど、成長途上の新興サービスでした。
つまりエブリライブは、多くのライバーやリスナー、そして配信を支える代理店が関わる、活気のあるコミュニティを抱えたサービスだったのです。それだけに、今回の突然の停止は、現場に大きな影響を及ぼしています。

1. 何が起きたのか ── 6月から「つながらない」
2026年6月1日ごろを境に、エブリライブのアプリ・サイトに接続できない状態が続いています。公式サイト everylive.jp はトップにアクセスしても正常に表示されず、アプリ側からもログイン・配信ができないという報告が相次いでいます。
技術的に確認すると、everylive.jp はAWS(アマゾン)のロードバランサー上で「502 Bad Gateway」(=受け口は生きているが、その先の本体=アプリのサーバーが応答しない状態)を返します。アプリ配信に使われていたサブドメイン web.everylive.jp に至っては、配信設定(CloudFront)ごと削除され、名前解決すらできなくなっています。「ドメインと受け口だけ残し、中身が撤去された」状態です。
2. 現場の声 ── 代理店・ライバーへの影響
配信ラボに寄せられた情報によると、現場では次のような事態が起きているといいます(※いずれも提供者からの情報で、運営側への確認は取れていません)。
- 運営と突然連絡が取れなくなった。問い合わせへの返信もなく、状況説明がない。
- 代理店報酬が支払われていない。本来支払われるはずの報酬が止まっている。
- 一部の代理店が、ライバー(配信者)への報酬を自腹で肩代わりしている。運営からの入金が止まる中、配信者を守るために代理店が立て替えているケースがある。
ライブ配信は、運営 → 代理店 → ライバーという形で報酬が流れる構造のため、運営からの入金が止まると、間に立つ代理店と、その先のライバーに影響が及びます。「自分たちは何も悪くないのに、突然はしごを外された」という代理店の困惑は深刻です。
3. 運営会社「エブリライブ株式会社」とは
エブリライブを運営するのはエブリライブ株式会社(法人番号 6011101097737)。商業登記簿によると、2022年2月1日設立。事業目的にはライブ配信プラットフォームの運営に加え、タレントのマネジメント、ECモール運営、資金移動業、古物商なども並びます。
▲ エブリライブ株式会社の登記簿(履歴事項全部証明書)より、商号・本店・設立年月日・目的。(2026年6月22日取得)
同社は近年、規模を拡大していたことも登記からうかがえます。2024年10月に本店を新宿区から港区虎ノ門へ移転。2025年春には資本金を4,400万円から9,000万円へ増資し、VCなどから優先株(A種類株式)で資金調達も行っていました。公式サイトの「会社概要」も、停止直前(2026年3月時点のアーカイブ)では従業員25名と記載されていました。
4. 登記簿に表れた“異変” ── 6月3日、取締役5名が一斉辞任し代表が交代
もっとも注目すべきは、商業登記簿に記録された役員の動きです。サービスが止まった直後の2026年6月3日付で、取締役5名が一斉に辞任。同日、代表取締役も交代し、それまで役員に名前のなかった人物が新たな代表取締役に就任しています。これらはまとめて2026年6月10日に登記されました。
▲ 登記簿「役員に関する事項」より。複数の取締役に「令和8年(2026年)6月3日辞任」、新任取締役に「令和8年6月3日就任」と記録されている。(下線は抹消=退任を示す/氏名・住所は編集部で伏せています)
代表取締役の変遷(※個人名は伏せます)
- 初代(創業者):2022年の設立時から2024年12月9日に退任。
- 2代目:2024年12月9日に就任し、2026年6月3日に退任。
- 3代目(新代表):2026年6月3日に就任(6月10日登記)。現在の代表。
そして2026年6月3日付で、取締役5名が同日付で辞任。この日を境に、同社の役員は新たに就任した代表取締役1名のみとなりました。経営陣がほぼ総入れ替えになった形です。なお、これらの交代の具体的な経緯や背景は、登記の記録からは読み取れません(あくまで「いつ・何名が・辞任/就任したか」が分かるのみです)。※本記事では、辞任・就任した役員の個人名はいずれも伏せています。
時系列の符合
- 2026年6月1日ごろ ── サービス接続不能に
- 2026年6月3日 ── 取締役5名が辞任、代表取締役が交代
- 2026年6月10日 ── 役員変更を登記。同じ6月10日に、everylive.jp ドメインの登録情報も更新されている
サービス停止・役員総入れ替え・ドメイン操作が、わずか10日のあいだに連動して起きていたことになります。
5. 技術的な痕跡 ── AWSサーバーの“相乗り”と他社の証明書
調査の過程で、もう一つ気になる点が見つかりました。停止中の everylive.jp にHTTPSで接続すると、まったく無関係に見える別会社のSSL証明書が表示されるのです。証明書の名義は www.sma-ticket.jp(ソニー・ミュージックアーティスツが運営するチケット販売サイト)でした。
調べると、エブリライブとこのチケットサイトは同一のAWSロードバランサー(同じIPアドレス)を共有していました。AWSのロードバランサーは通常、ひとつのアカウント(運用主体)に属するため、両サイトは同じAWSアカウント、あるいは共通のインフラ/開発ベンダーの上で構築・運用されていた可能性が考えられます。
6. 代理店・ライバーの方へ ── いま取れる自衛策
未払いや連絡途絶に直面している場合、まずは証拠を保全することが重要です。
- 記録を残す:契約書、報酬の明細・金額・支払予定、運営とのメール/チャット、アプリ内の履歴などをスクリーンショットやPDFで保存。
- 未払い額を確定する:誰に・いくら・いつ分が未払いかを一覧化。ライバーへ立替えた額も記録。
- 請求の準備:債権(未払報酬)の請求先は会社(エブリライブ株式会社)です。内容証明郵便での請求、支払督促・少額訴訟といった手段があります。
- 専門家に相談:金額が大きい・人数が多い場合は弁護士・司法書士へ。同じ立場の代理店どうしで情報を共有することも有効です。
これから始める方・活動を続ける方へ ― プラットフォーム選びの視点
今回のように、サービスが突然止まり、報酬の行き先が分からなくなることは、残念ながら起こり得ます。どのサービスが良い・悪いという話ではありませんが、ライバーとして長く安心して活動していくために、プラットフォームは「しっかりした基盤のあるところ」を選ぶ視点も大切にしたいところです。
たとえば、運営会社の実績や規模、情報開示の姿勢、報酬がきちんと支払われ続けているか、といった点はひとつの目安になります。あわせて、ひとつのサービスだけに頼りきらず、複数の活動の場や、ファンと直接つながれる手段(公式LINEやSNSなど)を持っておくと、いざというときに自分の活動と大切なファンを守りやすくなります。焦らず、無理なく、自分に合った場所を選んでいきましょう。
配信ラボでは、エブリライブの代理店・ライバーの方からの情報提供をお待ちしています。続報が入り次第、追記します。
まとめ
- エブリライブは「Good for Everyone」を掲げた投げ銭型ライブ配信アプリ。成長途上の新興サービスだった。
- 2026年6月1日ごろから接続不能。受け口だけ残し本体が撤去された状態。
- 現場では「運営と連絡が取れない」「代理店報酬が未払い」「代理店がライバー報酬を肩代わり」との声。
- 登記簿では6月3日に取締役5名が一斉辞任・代表交代、6月10日に登記。役員は新代表1名のみに。
- 技術的にはソニー系チケットサイトと同じAWSインフラを共有していた痕跡(ただし運営主体は断定できない)。
- 該当する方は、まず証拠保全と未払い額の確定を。これから活動する方は、基盤のしっかりしたプラットフォーム選びを。
本記事は公開情報および寄せられた情報に基づく取材記事です。掲載時点で確認できた事実に基づいており、個人の評価・断定は避けています。事実誤認・追加情報のご指摘は配信ラボまでお寄せください。










